逆流性食道炎の話題に「横隔膜」という言葉が出てくることがあります。「横隔膜が逆流と関係するの?」と疑問に思う方も多いと思います。
実は横隔膜は下部食道括約筋と一緒になって胃酸の逆流を防ぐ重要な役割を担っています。そして横隔膜の構造に問題が生じる「食道裂孔ヘルニア」は逆流性食道炎の原因の一つとして知られています。
この記事では横隔膜の役割と、食道裂孔ヘルニアが逆流性食道炎に与える影響をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
– 横隔膜の役割と逆流防止への関わり
– 食道裂孔ヘルニアとは何か
– 横隔膜を鍛えることで逆流を防ぐ方法
横隔膜とは
横隔膜は胸腔(肺・心臓がある空間)と腹腔(胃・腸などがある空間)を隔てるドーム状の筋肉です。呼吸のたびに上下に動いて肺を膨らませたりへこませたりしています。
横隔膜には「食道裂孔」という穴が空いており、食道はこの穴を通って胃につながっています。
横隔膜が逆流防止に果たす役割
下部食道括約筋が胃酸の逆流を防ぐ「内側のフタ」とすれば、横隔膜は「外側からのサポート役」です。
横隔膜は食道裂孔の周囲を締めることで、下部食道括約筋を外側から補助して逆流を防ぎます。正常な状態では下部食道括約筋と横隔膜が同じ位置にあって、2つが協力して逆流を防いでいます。
息を吸うときに横隔膜が下がると食道裂孔が引き締まり、逆流を防ぐ力が強くなります。これが「腹式呼吸が逆流性食道炎に良い」と言われる理由の一つです。
食道裂孔ヘルニアとは
食道裂孔ヘルニアとは、胃の一部が横隔膜の食道裂孔を通って胸腔側に飛び出してしまった状態です。
正常な状態では胃は横隔膜の下(腹腔側)にあります。食道裂孔ヘルニアになると胃の上部が横隔膜より上に押し出され、下部食道括約筋と横隔膜の位置がずれてしまいます。
この位置のずれによって2つの逆流防止機能が協力できなくなり、胃酸が逆流しやすくなります。
食道裂孔ヘルニアの原因とリスク因子
食道裂孔ヘルニアが起きる主な原因は次の通りです。
加齢:年齢とともに横隔膜の筋肉が弱くなり、食道裂孔がゆるみやすくなります。
肥満:腹部の脂肪が増えて腹圧が慢性的に高くなると、胃が横隔膜側に押し上げられやすくなります。
慢性的な腹圧上昇:長期間の便秘・重労働・慢性的な咳なども食道裂孔ヘルニアのリスクを高めます。
妊娠:子宮が大きくなることで腹圧が上昇し、胃が押し上げられやすくなります。
食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎の関係
食道裂孔ヘルニアがあると逆流性食道炎が起きやすくなりますが、ヘルニアがあっても症状が全くない方もいます。
逆に逆流性食道炎の症状がある方全員に食道裂孔ヘルニアがあるわけではありません。薬や生活習慣の改善で症状をコントロールできる場合がほとんどで、手術が必要になるのは重症のケースに限られます。
食道裂孔ヘルニアの有無は内視鏡検査で確認できます。薬を飲んでも症状が改善しない場合は、医師に相談して検査を受けることをおすすめします。
横隔膜を鍛えて逆流を防ぐ
横隔膜は筋肉なので、鍛えることで逆流防止機能を高めることができます。最も効果的な方法が腹式呼吸です。
腹式呼吸のやり方
鼻からゆっくり息を吸いながらお腹を膨らませます(4秒程度)。次に口からゆっくり息を吐きながらお腹をへこませます(8秒程度)。これを1日10回程度、食後を避けたタイミングで行いましょう。
腹式呼吸を続けることで横隔膜が強化され、食道裂孔が引き締まりやすくなります。逆流防止機能の向上とともに、自律神経を整える効果も期待できます。
まとめ
横隔膜は下部食道括約筋と協力して胃酸の逆流を防ぐ役割を担っています。食道裂孔ヘルニアによって横隔膜と括約筋の位置がずれると逆流が起きやすくなります。
腹式呼吸で横隔膜を鍛えることは、逆流性食道炎の改善に役立つセルフケアの一つです。薬や食事改善と合わせて取り入れてみてください。
関連記事
※本記事は医療アドバイスではありません。症状が続く場合は必ず医療機関を受診してください。




コメント